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予防期リハビリの難しさ

リハビリテーションの主なステージとして以下の①~③の3ステージに分けて考えられていますが、④終末期を加えた4ステージ、さらに⓪予防期を加えた5ステージの概念もあります。

 

⓪予防期

①急性期

②回復期

③生活期(維持期)

④終末期

 

主に、病院では①急性期・②回復期を、在宅では②回復期・③生活期を担うことになります(在宅では⓪予防期・④終末期を担当することもあります)。

 

受傷(罹患)後と、高齢者リハとではアプローチが異なるため分けて考える必要がありますが、今回は病院でも必要な概念となる高齢者の⓪予防期リハについて取り上げ、個別性のあるリハビリメニューの考案ではなく在宅での予防期リハビリの難しさについてお話したいと思います。

 

運動習慣のある方が運動しなくなったり運動量が減ったことでADL低下となっている場合は環境調整や活動量の見直しで維持・改善が期待できます。しかしながら、もともと運動習慣のない方が生活の中での活動範囲・活動量の縮小によりADL低下となっている場合はいかがでしょうか?日常生活の中でのADL低下は、生活習慣病 等にも共通するのではと思います。もちろん先天性や体質もありますが後天性の動脈硬化症・糖尿病・高血圧症・脂質異常症を薬剤なしで食事・運動・生活環境だけで治療するようなもの、ましてや、自覚なき生活習慣病と向き合うとしたらいかがでしょうか。

 

費用対効果という言葉を耳にしたことがあるかと思います。ある施策に費やした費用(コスト)に対して、どれ位の効果が得られたのかを表しておりコストパフォーマンスとも呼ばれています。何が言いたいのかというと「リハビリ対効果」も同様であると言えば分かりやすいでしょうか。努力が報われるのであればリハビリを頑張りやすいと思いますが、もし報われる事が保障されないとしたら頑張れるでしょうか。このように日常生活の中で気付かないうちに衰えた身体機能をリハビリだけで改善させる事はとても難しい事であると言えます。

 

「リハビリだけで改善させる事」が難しいのです。そうです『○○だけで』の部分に解決のヒントが隠されています。全ての方への適用は難しいですが当事業所では『○○だけで』以外の部分にも注目してアプローチすることを心がけています。目に見えない部分へのアプローチであるため知識・経験・センスが問われるポイントとなりますが、このポイントを意識するかしないかだけでも効果・経過・結果は大きく違ってくると思います。