出ないことより、困っていること

在宅療養のお困りごとの中でも、訪問看護の依頼として多いものの一つが排便に関する相談です。

 

「何日も便が出ていない」

「下剤を飲んでも出ない」

「浣腸が必要になっている」

「便秘と下痢を繰り返している」

 

こうした相談に対して、訪問看護では下剤調整の相談や浣腸、摘便、腹部マッサージ、水分摂取の工夫など、さまざまな支援を行います。

 

しかし、訪問看護を続ける中で感じることがあります。

 

それは、

 

「便が出ないこと」

 

そのものが問題なのではなく、

 

「何に困っているのか」

 

を理解することが大切だということです。

 

便秘にはさまざまな困りごとがある

便秘と聞くと、「便を出すこと」が目標のように思えます。

 

もちろん排便を促すことは大切です。

 

しかし実際の現場では、困っている内容は人によって大きく異なります。

 

■便が出ないことへの不安

「3日も出ていないから大変なことになるのではないか」

 

そんな不安を抱えている方もいます。

 

■排便時の苦痛

便は出ていても、強くいきまなければならなかったり、硬い便で痛みを伴ったりすることがあります。

 

■失禁への不安

便秘改善のために下剤を使用した結果、今度は下痢や失禁が起こり、外出や日常生活に支障が出ることもあります。

 

■家族の介護負担

本人よりも、ご家族が排便介助やオムツ交換に疲れているケースも少なくありません。

 

便を出すことだけが目的ではない

訪問看護では、

 

「何日出ていないか」

 

だけではなく、

 

「そのことで何に困っているのか」

 

を一緒に考えます。

 

毎日排便がなくても、本人が苦痛なく穏やかに過ごせている場合もあります。

 

反対に、毎日排便があっても、不安や失禁によって生活の質が下がっている場合もあります。

 

数字だけでは見えない困りごとがあるのです。

 

生活の中で考える排便支援

排便は生活の一部です。

 

そのため訪問看護では、

 

・食事内容

・水分摂取

・活動量

・排便習慣

・トイレ環境

・内服薬

・ご家族の介護状況

 

なども含めて考えます。

 

下剤を増やすだけでは解決しないこともあります。

 

反対に、生活の中の小さな工夫によって改善することもあります。

 

訪問看護が大切にしていること

訪問看護は、

 

「便を出すこと」

 

だけを目標にはしていません。

 

その人が安心して暮らせること。

 

ご家族が無理なく介護を続けられること。

 

その人らしい生活が続けられること。

 

そんな視点を大切にしています。

 

だから私たちは、

 

「何日出ていないか」

 

だけではなく、

 

「何に困っているのか」

 

を見つめています。

 

出ないことより、困っていること。

 

訪問看護は、その人の生活の中にある困りごとに寄り添いながら、一緒に考えていきます。

 

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