在宅療養のお困りごとの中でも、訪問看護の依頼として多いものの一つが排便に関する相談です。
「何日も便が出ていない」
「下剤を飲んでも出ない」
「浣腸が必要になっている」
「便秘と下痢を繰り返している」
こうした相談に対して、訪問看護では下剤調整の相談や浣腸、摘便、腹部マッサージ、水分摂取の工夫など、さまざまな支援を行います。
しかし、訪問看護を続ける中で感じることがあります。
それは、
「便が出ないこと」
そのものが問題なのではなく、
「何に困っているのか」
を理解することが大切だということです。
便秘と聞くと、「便を出すこと」が目標のように思えます。
もちろん排便を促すことは大切です。
しかし実際の現場では、困っている内容は人によって大きく異なります。
「3日も出ていないから大変なことになるのではないか」
そんな不安を抱えている方もいます。
便は出ていても、強くいきまなければならなかったり、硬い便で痛みを伴ったりすることがあります。
便秘改善のために下剤を使用した結果、今度は下痢や失禁が起こり、外出や日常生活に支障が出ることもあります。
本人よりも、ご家族が排便介助やオムツ交換に疲れているケースも少なくありません。
訪問看護では、
「何日出ていないか」
だけではなく、
「そのことで何に困っているのか」
を一緒に考えます。
毎日排便がなくても、本人が苦痛なく穏やかに過ごせている場合もあります。
反対に、毎日排便があっても、不安や失禁によって生活の質が下がっている場合もあります。
数字だけでは見えない困りごとがあるのです。
排便は生活の一部です。
そのため訪問看護では、
・食事内容
・水分摂取
・活動量
・排便習慣
・トイレ環境
・内服薬
・ご家族の介護状況
なども含めて考えます。
下剤を増やすだけでは解決しないこともあります。
反対に、生活の中の小さな工夫によって改善することもあります。
訪問看護は、
「便を出すこと」
だけを目標にはしていません。
その人が安心して暮らせること。
ご家族が無理なく介護を続けられること。
その人らしい生活が続けられること。
そんな視点を大切にしています。
だから私たちは、
「何日出ていないか」
だけではなく、
「何に困っているのか」
を見つめています。
出ないことより、困っていること。
訪問看護は、その人の生活の中にある困りごとに寄り添いながら、一緒に考えていきます。