介護の前に、親子だった

認知症や身体機能低下により、家族の関係性が少しずつ変わっていくことがあります。

 

「支えたい」という気持ちが強いほど、焦りや不安、時には怒りとなって現れることもあります。

 

今回は、認知症のご夫婦と、その娘さん姉妹との関わりを通して、“介護”の前にあった“親子関係”について考えたお話です。

 


頑張っているのに、苦しくなっていた

認知症のある高齢夫婦のお宅へ訪問していた時のお話です。

 

少しずつ物忘れが増え、身体機能も低下し、以前のような生活が難しくなってきていました。

 

そんな中、娘さん姉妹から生活相談を受けるようになりました。

 

受診の付き添い、買い物支援、生活支援。

 

とても熱心にご両親を支えられていることが伝わってきました。

 

一方で、

 

「つい怒ってしまう」

「イライラしてしまう」

 

そんなお気持ちも話して下さいました。

 

怒りの奥にあったもの

お話を整理していく中で見えてきたのは、

 

「いつまでも元気な両親でいてほしい」

 

という強い想いでした。

 

だからこそ、できなくなっていく姿を見ることがつらかったのだと思います。

 

娘さん姉妹には、

 

「もっと頑張ってほしい」

「このまま進行したらどうしよう」

 

という焦りや不安もありました。

 

一方、ご両親は既に精一杯生活されていました。

 

「これ以上、何を頑張ればいいのか」

 

そんなお気持ちもあったように感じます。

 

気づけば、

 

“親子”

 

だった関係が、

 

“介護者”と“要介護者”

 

という関係へ少しずつ変わっていっていました。

 

介護の前に、親子だった

娘さん姉妹は、ご両親のことだけでなく、

 

「サービス提供者に迷惑をかけたくない」

 

という想いも抱えておられました。

 

私は訪問看護師として、

 

娘さん姉妹のお気持ち、

ご両親のお気持ち、

 

その両方を考えながら関わらせて頂きました。

 

そして、

 

「介護者と要介護者ではなく、親子としての時間も大切にしてほしい」

 

そんなお話をさせて頂きました。

 

何か劇的に変わったわけではありません。

 

けれど、

 

利用者さん、ご家族、訪問看護師。

 

みんなで一緒に現実を見ていくことで、

 

少しずつ“チーム”のような空気が生まれていったように感じています。

 

家族支援も、在宅療養の大切な看護

在宅療養では、利用者さんだけでなく、ご家族もまた日々悩みながら生活されています。

 

「支えたい」

「頑張ってほしい」

 

そう思うほど、苦しくなることもあります。

 

訪問看護は、利用者さんだけを支える仕事ではありません。

 

ご家族も含めて、その人らしい暮らしを一緒に考えていくことも、大切な役割なのだと思います。

 

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在宅療養では、利用者さんだけでなく、ご家族もまた不安や葛藤を抱えながら日々を過ごされています。

 

“支える側”もまた、一人で抱え込まなくて良い。

 

利用者さん、ご家族、支援者が一緒に悩み、一緒に考えながら、その人らしい暮らしを支えていくことが大切なのだと思います。

 

これからも「在宅療養の現場から」、日々の関わりの中で感じたことを綴っていきます。