「最近、お風呂に入れなくなってきていて…」
認知機能低下により、入浴が難しくなってきた利用者さんへの訪問看護依頼でした。
当初は、
「入浴介助をしてほしい」
という相談でした。
ですが関わる中で、
“身体的に入れない”
というより、
「お風呂へ入る意味が分からなくなってきている」
ことが大きいように感じました。
今回は、認知症の方への関わりの難しさと、在宅療養で感じた“タイミング”についてのお話です。
訪問時は、
・体調確認
・会話
・生活状況確認
などを行いながら、入浴を促していました。
ですが、
「お風呂に入りましょう」
と声をかけても、拒否となることが少なくありませんでした。
一方で、
体調確認をしながらゆっくり話をして、少しずつ気持ちが向くタイミングを待つと、
時々は入浴できることもありました。
そのため、
“入浴拒否”
というより、
“タイミングが合わない”
状態だったのかもしれません。
訪問看護は、
・予定訪問
・時間指定
で介入するサービスです。
ですが認知症の方では、
「今ならできそう」
というタイミングが、その時間に来るとは限りません。
訪問時間内では気持ちが向かず、
訪問が終わった後に気分が変わることもあります。
つまり、
“良い関わり”
だけでは解決できない難しさがありました
ご家族は、
「自宅でどのように過ごしているかを見てほしい」
という希望を持たれていたため、訪問看護は継続となりました。
一方で、入浴については、
1日を通してタイミングを見やすいデイサービスの利用を併用する形になりました。
結果として、
自宅では変わらず入浴が難しい場面もありましたが、
デイサービスでは比較的スムーズに入浴できることも増えていきました。
現在は施設入所されていますが、
「今の環境の方が本人には合っているようです」
と、ご家族から伺っています。
この関わりの中で、大きく変わったのは、ご家族の表情でした。
当初は、
「家で入浴させなければいけない」
「ちゃんとできていない」
という責任感を強く抱えておられるように感じました。
ですが、
訪問看護師と本人との関わりを実際に見てもらう中で、
「本人が悪いわけでもない」
「関わり方やタイミングの難しさもある」
ということを、一緒に考えられるようになっていきました。
すると、
ご家族だけが抱え込んでいた責任感が、少しずつ分散されていったように感じました
在宅療養では、
「どうすれば家で続けられるか」
を考えることが多くあります。
ですが、
どんなに支援しても難しいことがある。
そして、
“在宅だけが正解”
とも限りません。
その人にとって、
・どんな環境なら安心できるか
・どんな場所ならタイミングが合いやすいか
・どんな関わりなら無理が少ないか
を探していくことも、大切な支援なのだと思います。
在宅療養では、「うまくいかなかったこと」の中に、その人に合う関わり方や環境が見えてくることがあります。
今回の関わりは、“支援すること”だけでなく、“一緒に考えること”の大切さを教えていただいた出来事でした。