精神疾患のある利用者さんへの支援では、ご本人だけでなく、ご家族もまた大きな不安を抱えておられることがあります。
特に、「親なきあと」の問題は、多くのご家族にとって避けて通れないテーマです。
今回は、利用者さんを支える母親との関わりの中で感じた、“厳しさ”の奥にあった想いについてのお話です。
精神疾患のある利用者さんのお宅へ訪問していた時のお話です。
訪問看護師へ連絡や相談を下さるのは、主にお母様でした。
生活のこと。
病状のこと。
薬のこと。
制度やサービスのこと。
相談内容は多岐に渡っていました。
最初の頃、私はお母様に少し厳しい印象を持っていました。
病状のことを考えると、もう少し距離感を取れた方が良いのではないか、と感じる場面もありました。
けれど、お話を重ねていく中で見えてきたのは、
「自分がいなくなった後、この子はちゃんと生活できるのだろうか」
という強い不安でした。
年齢を重ねれば、親が先に他界する可能性が高くなります。
だからこそ、お母様は利用者さんの将来を考え、時に厳しく関わっておられたのだと思います。
それは、
「自立してほしい」
という願いでもあり、
「自分がいなくなった後も困らないでほしい」
という親としての想いでもあったように感じました。
訪問看護師として、特別な何かができるわけではないのかもしれません。
けれど、
利用者さんとお母様、
その親子関係を見守りながら、
「今、どんな不安を抱えているのか」
「何を大切にしたいのか」
を一緒に整理していくことはできます。
また、お母様の想いや意向を確認することで、安心される場面もありました。
在宅療養では、ご本人だけでなく、ご家族もまた支援を必要とされています。
親なきあとを考える不安は、簡単になくなるものではありません。
だからこそ、
“一人で抱え込まなくて良い”
そう感じてもらえる関わりが大切なのだと思います。
在宅療養では、ご家族の不安や葛藤が、利用者さんとの関わり方に影響することがあります。
その背景を一緒に整理していくことで、少しずつ見え方が変わることもあります。
訪問看護は、ご本人だけを支える仕事ではありません。
ご家族も含めて、その人らしい暮らしを一緒に考えていくことも、大切な役割なのだと思います。
・「電話してもいい」が安心になった
・不安が一つだけになると苦しくなる
・「ちゃんとしなきゃ」が苦しくなっていた
・介護の前に、親子だった
・在宅療養の現場から
在宅療養では、利用者さんだけでなく、ご家族もまた将来への不安を抱えながら日々を過ごされています。
「支えたい」という想いが強いほど、厳しさや焦りとして現れてしまうこともあります。
訪問看護は、ご本人だけを支える仕事ではありません。
ご家族の不安や想いにも目を向けながら、一緒にこれからの暮らしを考えていくことも、大切な役割なのだと思います。
これからも「在宅療養の現場から」、日々の関わりの中で感じたことを綴っていきます。