在宅療養のお困りごととして、
食事量が減ってきた
ご飯を残すようになった
食べなくなってきた
薬を飲まなくなってきた
という相談があります。
すると私たちは、
「どうしたら食べてもらえるだろう」
と考えます。
しかし訪問看護を続ける中で、私は別のことを考えるようになりました。
それは、
「なぜ食べなくなったのだろう」
ということです。
私たちは、
食べることは良いこと。
食べないことは悪いこと。
そう考えがちです。
もちろん、必要な栄養を摂ることは大切です。
しかし、本当に大切なのは食べることそのものなのでしょうか。
若い頃は、
お腹が空けば自然と食事をしていました。
誰かに言われなくても食べます。
なぜなら身体が、
「エネルギーが必要です」
というサインを出しているからです。
食事は本来、
お腹が空いた時に行う自然な行為です。
しかし年齢を重ねると、
活動量や身体の状態が変化していきます。
それでも、
昔と同じように三食きちんと食べなければならない。
薬を飲むために食べなければならない。
そう考えることがあります。
もちろん、それが合っている方もいます。
しかし身体の状態によっては、
その習慣が負担になっていることもあります。
私は時々、
車のガソリンで考えます。
ガソリンタンクが満タンなのに、
さらに給油を続けたらどうなるでしょうか。
溢れてしまいます。
身体も同じかもしれません。
お腹が空いていない。
胃が重たい。
食欲がわかない。
食べると苦しい。
そんな時、
身体は「今は必要ありません」というサインを出しているのかもしれません。
食べない理由は一つではありません。
例えば、
・便秘でお腹が張っている
・口の中が痛い
・飲み込みにくい
・薬の副作用がある
・気持ちが落ち込んでいる
・一人で食べるのが寂しい
・病気が進行している
・活動量が減っている
同じ「食べない」でも、
その背景は人によって全く違います。
だからこそ、
「食べてもらう方法」
を考える前に、
「なぜ食べなくなったのか」
を考えることが大切になります。
食事量が減ると、
薬を飲まなくなることがあります。
すると、
「服薬管理ができなくなった」
という問題として捉えられることがあります。
しかし、
薬を飲まなくなったのではなく、
食事をすること自体が負担になっている場合もあります。
毎食後の薬。
三度の食事。
それは働きながら生活する世代のスタイルから生まれた考え方でもあります。
高齢になり、
活動量や生活リズムが変化した時、
そのスタイル自体を見直す必要があることもあります。
訪問看護では、
食べないことそのものを問題として見るだけではありません。
なぜ食べなくなったのか。
何が起きているのか。
身体はどんなサインを出しているのか。
その人の生活の中で考えていきます。
整容をしなくなった時もそうでした。
食べなくなった時も同じです。
行動だけを変えようとすると、
本当の理由が見えなくなることがあります。
在宅療養では、
食事をすること自体が目的ではありません。
その人が、その人らしく生活できることが目的です。
だからこそ私たちは、
「食べないから困る」
ではなく、
「なぜ食べなくなったのだろう」
と考えます。
食事量が減ったこと。
薬を飲まなくなったこと。
それは単なる問題ではなく、
身体や生活からのサインなのかもしれません。
訪問看護では、そのサインを一緒に読み解いていきます。
在宅療養のお困りごと
看取りが近づく時間は、不安だけでなく、その方らしい時間を大切にする時間でもあります。さんふらわぁ訪問看護リハビリステーションでは、ご本人とご家族の思いに寄り添いながら、在宅療養を支えています。