「今日は川を見に行く」

車椅子で生活されている利用者さん。

 

ある日、訪問すると、外へ出かける準備をされていました。

 

普段は住宅周囲を一周する程度でしたが、その日は違いました。

 

「今日は川を見に行く」

 

そう話され、自ら車椅子を動かし始めました。

 

今回は、その時に感じたことについて綴っています。

 


10年以上振りの道

利用者さんは、ゆっくりと車椅子を自走しながら進まれていました。

 

「この道を通るのは10年以上振りになるかな」

 

「ずいぶん変わったな」

 

景色を見ながら、少しずつ昔話をしてくださいました。

 

普段のリハビリでは見られない表情でした。

 

そして、川へ到着すると、

 

「昔はよくここで釣りをしたもんだ」

 

と懐かしそうに笑われていました。

 

ただのリハビリではなかった

今回の外出は、

 

“ただの歩行練習”

 

ではなかったように感じています。

 

なぜ、川へ行きたかったのか。

 

それは、利用者さんにしか分かりません。

 

もしかすると、

 

「まだ自分はできる」

 

という確認だったのかもしれません。

 

あるいは、

 

頑張れなくなってきた自分に対して、

 

もう一度向き合おうとしていたのかもしれません。

 

過去の自分と、今の自分を重ねていたのかもしれません。

 

ただ純粋に、

 

懐かしい景色を見たかっただけなのかもしれません。

 

理由は分かりません。

 

ですが、その“想い”に寄り添う時間だったように思います。

 

リハビリの先にあるもの

在宅でのリハビリでは、

 

「何メートル歩いたか」

 

「どこまでできるようになったか」

 

も大切です。

 

ですが、

 

生活の中のリハビリには、

 

数字だけでは測れない意味があることがあります。

 

その場所へ行きたい。

 

昔を思い出したい。

 

もう一度、自分で確かめたい。

 

そういった気持ちが、

 

身体を動かす力になることがあります。

 

私たちは、

 

身体機能だけではなく、

 

その人が何を想っているのかも想像しながら関わっていきたいと思っています。

 

“できるようにする”だけではなく

リハビリは、

 

「できないことをできるようにする」

 

だけではないのかもしれません。

 

その人が、

 

どんな景色を見たいのか。

 

どんな時間を大切にしているのか。

 

どんな想いで身体を動かしているのか。

 

そうした部分に寄り添うことも、

 

在宅療養の中では大切な支援の一つなのだと感じています。

 

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在宅療養では、“身体を動かす理由”が、その人の人生や想いと繋がっていることがあります。
私たちは、その想いも大切にしながら、一緒に歩んでいきたいと思っています。