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「ナイチンゲール誓詞」は誰の誓い?

戴帽式(たいぼうしき)は、看護学校、看護系大学や、歯科衛生士学校、で看護師や歯科衛生士を目指す学生たちが、初めての病院実習に臨む直前に、教員が、学生一人一人にナースキャップを与え、看護師、歯科衛生士を目指すものとしての職業に対する意識を高め、またその責任の重さを自覚させるための儀式。ナースキャップをつけてもらった戴帽生(たいぼうせい)が、ナイチンゲール像から灯りを受け取り、そのキャンドルの明かりの中でナイチンゲール誓詞を朗読するというのが一般的(Wiki戴帽式より)。

 

<ナイチンゲール誓詞(オリジナル版 和訳)>

われはここに集いたる人々の前に厳かに神に誓わん

わが生涯を清く過ごし わが任務を忠実に尽くさんことを

われはすべて毒あるもの 害あるものを絶ち

悪しき薬を用いることなく また知りつつこれをすすめざるべし

われはわが力のかぎり わが任務の標準を高くせんことを努むべし

わが任務にあたりて 取り扱える人々の私事のすべて

わが知り得たる一家の内事のすべて われはひとに漏らさざるべし

われは心より医師を助け わが手に託されたる人々の幸のために身を捧げん

 

<ナイチンゲール誓詞(現代版 和訳>

神とここに集う人々の前に厳かに誓う

看護専門職の倫理規範を遵奉し

忠誠心を持って看護チームの他のメンバーと共に協力し

監督者として指定された医師または看護者の指示に忠実に

そして己の能力に従って最善を尽くし

一切の悪行や悪意ある行為をせず

意図しながら害のあるいかなる薬を与えることや不正行為には加担しないと

職業上の知りえた秘密についてはこれを秘匿する

そして全力を尽くし看護実践の標準と品位を高めることを自分に誓う

 

我が人生が看護専門職の仕事とその高邁な理想に捧げられんことを 

 

「ナイチンゲール誓詞(Nightingale Pledge)」とは、現代看護の創始者フローレンス・ナイチンゲールの偉業を讃え、1893年アメリカ合衆国ミシガン州デトロイト市にあるハーパー病院のファーランド看護学校長リストラ・グレッター氏を委員長とする委員会で「ヒポクラテスの誓い」の内容を元に作成されたものである。

 

ナイチンゲール本人も、その代表的な著作「看護覚え書き」の中において「私たちの場合『誓い』を立ててこの道に入ったりしない」「真の気持ちは厭世(えんせい)や失恋などとまったく別のものであると自覚するためにわざわざあえて『誓い』を立てる必要があるのか」「そんな次元の低いものと見なしているのだろうか」と述べている。

 

その後、ナイチンゲール誓詞はアメリカにおける看護倫理および原則の表明となり、「害をなさず」、「病気になっている人が困っているときにいつでもどこでも熱心に看護する」といった誓約を含んでいた。1935年の誓詞の改訂でグレッターは「健康の使命者となる誓い」を含め「人間の福祉健康」向上に捧げる看護師の役割を広げた。

 

以来、アメリカの看護師は何十年もの間、戴帽式や卒業式などのセレモニーでナイチンゲール誓詞を利用してきた。近年では、アメリカの多くの学校がオリジナル版または1935年版に変更を加え、独自の特定の倫理基準(後述)を参照し、しばしば、より自立した看護職を促進するために「医師への忠誠」という表現を削除したものを利用している   (Wikiナイチンゲール誓詞より)。

 

つまり、ナイチンゲール誓詞はナイチンゲール本人の誓いではないことが分かります。 

 

戴帽式で身が引き締まる思いでオリジナル版のナイチンゲール誓詞を朗読した看護学生も少なくないと思います。今、思えば良くも悪くも看護師の理想像を表していたようにも思います、そして、その看護師像の呪縛に囚われていたのかも知れません。「自分らしい」看護が…いつのまにか人々が作り上げた偶像とも言える「看護師らしい」看護になっているかも知れません。