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病棟看護と訪問看護の「寄り添い」は、なぜズレるのか

病棟看護と訪問看護の「寄り添い」は、なぜズレるのか

 ~ 病棟経験のある看護師へ、さんふらわぁからのメッセージ ~

 

訪問看護に転職してきた看護師から、

私たちはこんな声をよく聞きます。

 

・「病棟と同じように看護しているつもりなのに、拒否される」

 ・「説明も根拠も伝えているのに、動いてもらえない」

 ・「患者さんのために言っているのに、距離が縮まらない」

 

これは、能力不足でも、看護観の欠如でもありません。

多くの場合、病棟看護と訪問看護で“寄り添いの前提”が違うことに気づけていないだけです。

 

 

病棟看護での「寄り添い」は、治療を支えるための関わり

 

病棟は、治療の場です。

 

・安全が最優先される

・医療者が環境を整えている

・限られた時間で判断が求められる

 

この中での寄り添いとは、

 

患者が治療を受けられるように、

不安や混乱を減らし、

必要な行動へ導く関わり

 

です。

 

看護師が判断し、先回りし、

時に患者の選択肢を狭めることもあります。

それは守るための専門性であり、正しい看護です。

 

 

訪問看護では、その「正しさ」がズレになることがある

 

・訪問看護の現場は、利用者さんの生活の中です。

・そこは利用者さんの家

・生活の主導権は利用者さんにある

 

医療者は“招き入れられる側”

 

この環境で、病棟と同じ感覚で関わると、

次のようなズレが起こります。

 

 

【事例①】

「安全のため」が、生活を否定してしまったケース

 

退院直後のAさん。

転倒リスクが高く、病棟では常に見守りが必要でした。

 

訪問初回、訪問看護師はこう伝えました。

 

「危ないので、この動線は変えましょう」

「このやり方はやめた方がいいです」

 

医学的には正しい判断でした。

しかしAさんは次第に口数が減り、

数回後には訪問そのものを拒否しました。

 

Aさんにとってその動線は、

**長年の生活で身についた“自分のやり方”**だったのです。

 

病棟では「守る寄り添い」

訪問では「奪う関わり」に見えてしまった例です。

 

 

【事例②】

「説明すれば納得してもらえる」と思ってしまったケース

 

Bさんは服薬を自己中断していました。

 

看護師は丁寧に、

 

・薬の効果

・中断のリスク

・再発の可能性

 

を説明しました。

 

それでもBさんは言いました。

 

「分かってる。でも、今は飲みたくない」

 

ここで病棟的な寄り添いだと、

「どうにか納得してもらう」方向に力が入ります。

 

しかし訪問看護では、

**“分かっていて選ばない理由”**を聞くことが寄り添いになります。

 

Bさんの場合、

副作用よりも「日中眠くなること」が

生活にとって致命的だったのです。

 

 

訪問看護の寄り添いは「説得」ではありません

 

さんふらわぁ 訪問看護リハビリステーションが大切にしているのは、

 

説得することではなく、納得できる形を一緒に探すことです。

 

訪問看護の寄り添いとは、

 

・変えさせること

・正解に近づけること

・行動を修正すること

 

ではありません。

 

その人が、なぜ今その選択をしているのかを理解し、

医療がどこまで関われるのかを調整し続けることです。

 

ときには

 

・すぐに変えない

・あえて見守る

・何もしない

 

という判断も含まれます。

 

それは妥協ではなく、

生活を尊重する専門的判断です。

 

 

さんふらわぁが考える、訪問看護の「寄り添い」

 

私たちは、寄り添いを

「優しくすること」

「そばに居続けること」

だとは考えていません。

 

その人の生活と価値観を前提に、

医療が入り込む“ちょうどいい位置”を探し続けること

 

それが、さんふらわぁの訪問看護です。

 

病棟で培った看護力は、

訪問看護でも必ず活きます。

 

ただし、

守る対象が「治療」から「生活」に変わる

その切り替えが必要です。

 

 

病棟から訪問へ来た看護師さんへ

 

訪問看護でつまずいたと感じたとき、

それは「向いていない」のではありません。

 

多くの場合、

寄り添いの軸が、まだ病棟のままなだけです。

 

その違いに気づいたとき、

あなたの看護は、

生活の中で本当の力を持ち始めます。

 

病棟で積み重ねてきた経験は、

訪問看護でも確かな力になります。

 

訪問看護が違って見えるのは、

看護の質が変わるのではなく、

関わる「距離」と「役割」が変わるからです。

 

もし、

「もっとその人の生活を知りたい」

「選択に関わる看護がしたい」

そう感じたことがあるなら、

訪問看護はあなたの看護を広げてくれる場所かもしれません。

 

 

 

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