病棟と在宅、どちらが上でもない
看護の「楽しさ」と「遣り甲斐」の質の違い
看護師は、ほとんどが病棟看護を基盤に教育を受けます。
急性期、周術期、重症管理。
正確な手技、迅速な判断、多重業務への対応。
その環境で育つと、
知らず知らずのうちに
「これが看護の王道」
という価値観を持ちやすくなります。
でも、本当にそうでしょうか。
◆ 病棟の楽しさの質
病棟の楽しさは、
・スピード感
・判断力が磨かれる実感
・手技の上達
・チームで急変を乗り越える一体感
いわば
「瞬発力型のやりがい」
です。
目の前の状態を読み、
最短距離で最善を目指す。
正確さと効率が武器になる世界。
これは高度で、誇るべき能力です。
◆ 在宅の楽しさの質
一方、訪問看護の楽しさは少し違います。
・生活の流れを読む力
・本人と家族の価値観を尊重する余白
・すぐに正解を出さない忍耐
・変化を“待つ”力
いわば
「持久力型のやりがい」
です。
正しさよりも、
“その人らしさ”をどう守るか。
急がない看護。
正解を押し付けない看護。
これは技術というより
人としての脳力が問われます。
◆ 技術の違いではなく、「見るポイント」の違い
病棟は → 生命の安定を見る
在宅は → 生活の安定を見る
病棟は → 異常を探す目
在宅は → 日常の揺らぎを感じる目
どちらも高度です。
ただ、センサーの向きが違うだけです。
◆ なぜ「楽しさ」が違って感じるのか
それは、
自分の脳の使い方と合っているかどうか。
・変化に即応することが快感になる人
・関係性を深めることが快感になる人
どちらも優劣はありません。
でも、教育のスタートが病棟寄りなので、
「合わない自分=能力が低い」と
誤解してしまう看護師が少なくありません。
そこが落とし穴です。
◆ 病棟が向いている人の脳力
・緊張感の中で集中できる
・明確な正解を出すのが好き
・短期間で成果を出したい
・チームで戦う感覚が好き
◆ 在宅が向いている人の脳力
・人の背景を想像するのが好き
・白黒つかない状況に耐えられる
・関係性を育てるのが好き
・「待つ」ことができる
◆ 看護師としての能力ではない
手技は場数で伸びます。
病棟は手技が磨かれる場所。
在宅は生活を見る力が磨かれる場所。
それだけのこと。
違うのは能力ではなく、
楽しさを感じるポイントです。
◆ 自分に合う場所で働くという選択
「しんどい」のは、能力不足ではなく、
脳力のミスマッチかもしれません。
仕事が楽しい高齢の利用者さんが話していたのは、
「人とわいわいするのが楽しかった」
ということ。
楽しさは、仕事内容より
人との関わり方の質にあるのかもしれません。
◆ 最後に
病棟も在宅も、どちらも看護。
上でも下でもない。
違うのは、
命を見る距離と
生活を見る距離。
そして、
自分の脳がどこで喜ぶか。
看護師としての能力を疑う前に、
「どの場所なら自分は楽しめるか」を
考えてみてもいいのかもしれません。
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