· 

「別れ」との出逢い

「別れ」との出逢い

 

医療や介護の現場にいると、

利用者さんとの別れに立ち会うことがあります。

退院。

施設入所。

そして、逝去。

関わりが一区切りする場面は、

看護の仕事の中で決して少なくありません。

別れという言葉には、

どこか寂しさや重さがあります。

けれど私は最近、

別れにはもう一つの側面があるのではないかと

思うようになりました。

それは、

「別れ」との出逢いです。

同じように見える別れでも、

そこにある別れは一つとして同じものではありません。

ある別れには、安堵があります。

ある別れには、後悔があります。

ある別れには、静かな納得があります。

家族の言葉。

本人の表情。

その場に流れる空気。

すべてが少しずつ違っていて、

そこにある別れの意味もまた、

毎回違っています。

だから私は、

利用者さんと別れるたびに、

また一つ新しい「別れ」と出逢っているのだと思います。

訪問看護をしていると、

そのことをより強く感じます。

利用者さんは、

病院の一場面ではなく、

その人の生活の中で最期まで生きています。

家族がいて、

思い出のある家があって、

その人らしい日常があります。

その生活の延長線上に、

別れの瞬間があります。

だからこそ、

訪問看護で立ち会う別れには、

その人の人生の時間が静かに流れているように感じます。

そして不思議なことに、

別れを重ねるほど、

人と出逢うことの意味も少しずつ変わっていきます。

出逢いは、

いつか訪れる別れを含んでいる。

そう思うようになると、

一つ一つの出逢いが、

少し違って見えてきます。

看護は、出逢いの仕事だと言われます。

けれど本当は、

出逢いと同じくらい、

別れから学ぶ仕事なのかもしれません。

私たちは、

どれだけの別れと出逢ってきたでしょうか。

そしてその別れは、

次に出逢う誰かとの関わり方を、

少し変えているのかもしれません。

もしそうだとしたら、

看護の中で経験する一つ一つの別れには、

どんな意味があるのでしょうか。

 

 

 

← 前の投稿   次の投稿 →

 

過去ブログのリストは こちら

(サイトマップを下にスクロール)