効率化と、看護観は比例しない。
私たちは、医療や介護の現場で「効率化」を求められる時代に生きています。
電子カルテ。
多職種連携アプリ。
タブレット端末。
ICT。
どれも、現場には欠かせない大切な技術です。
情報共有は速くなり、移動も減り、働きやすさは確実に向上しています。
だから私は、効率化そのものを否定したいわけではありません。
むしろ必要なことだと思っています。
ただ一つ、効率化と看護観が育つことは、必ずしも同じではないと感じています。
直行直帰は、本当に効率的なのか。
例えば、直行直帰。
時間だけを考えれば、とても合理的です。
しかし、自宅からそのまま利用者さん宅へ向かい、自宅へ戻る働き方は、自宅と仕事がつながりやすくなります。
一方で、事業所へ立ち寄るという行為には、単なる移動以上の意味があります。
仕事へ向かう時間。
仕事を終えて帰る時間。
この小さな切り替えが、気持ちのONとOFFを作っていることがあります。
効率では測れない価値です。
ICTは連携を助ける。
電子カルテや多職種連携アプリは、本当に便利です。
以前なら電話やFAXでやり取りしていた情報も、今ではすぐ共有できます。
けれど、ときどき思うことがあります。
本来の目的は「連携すること」のはずなのに、
いつの間にか「アプリを使うこと」が目的になってしまうことがあります。
ツールはあくまで手段です。
目的ではありません。
紙カルテには、紙カルテの時間がある。
紙カルテから電子カルテへ変わったことで、情報処理能力は飛躍的に向上しました。
これは間違いありません。
それでも、紙カルテには紙カルテならではの良さがあります。
紙に向かって書く時間。
ページをめくる時間。
立ち止まって考える時間。
人と向き合う看護もアナログです。
紙カルテもアナログです。
そこには、少しだけ時間がゆっくり流れています。
「間」が人を育てる。
私が一番違いを感じるのは、「間」です。
デジタルは速く、正確です。
一方で、余白はあまりありません。
紙には、余白があります。
書きながら考える。
少し立ち止まる。
何を書こうか迷う。
その「間」が、人に考える時間を与えてくれます。
看護観は、その余白の中で少しずつ育っていくものなのかもしれません。
効率化の、その先へ。
効率化は、これからも必要です。
デジタルの力で救われる現場はたくさんあります。
だからこそ、
デジタルにはデジタルの良さを。
アナログにはアナログの良さを。
どちらかを選ぶのではなく、
両方を大切にできる看護でありたい。
効率だけでは測れないものが、看護にはあります。
そして、その余白の中で育つものこそ、看護観なのだと思っています。
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